2011-07-30

勝ち上がってくる力士


 勝ち上がってくる力士にはどこか茫洋としたところがある。武双山もそうだった。かつての武蔵丸や安芸乃島にも同じ匂いがあった。伸び盛りの相撲取りは、いつの時代も、自分が何者なのかを判じかねているようなきょとんとした表情で勝ちすすんでいく。
 おそらく、自分が何者であるのかを知った時、力士は成長をやめるのだろう。

【『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆(朝日新聞社、2005年)】

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