2014-12-12

日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

アメリカが日朝国交正常化の二度の機会をつぶした

 日本が北朝鮮とのあいだの門戸を開いて独自に外交を展開しようとしたことが、過去に2回ありました。
 最初は1990年9月、金丸元副総理田辺誠日本社会党副委員長らによる金丸訪朝団です。このとき日朝代表団のあいだで数回の会議が行われ、朝鮮労働党・自民党・日本社会党の3党による共同宣言が出されました。
 この「3党共同宣言」には、日本が戦前の35年間と戦後45年間に朝鮮人民に与えた不幸に対して謝罪するとともに十分な補償をすること、できるだけ早い時期に日朝間の国交を樹立するなどのことが記されていました。
「3党共同宣言」の内容についてはいろいろな批判もありましたが、これによって日本と北朝鮮が国交正常化に向けて一歩を踏み出したことは事実です。
 また訪朝の目的の一つは、スパイ容疑で逮捕・投獄されていた第十八富士山丸の日本人船長と機関長2名の釈放・帰国でしたが、これも実施されました。
 ところがそれから間もなく、アメリカによって北朝鮮の核開発疑惑がもたらされ、さらに金丸さんの不正献金問題が浮上して失脚するなどのことが立て続けに起こって、日朝国交正常化への動きは完全に停止してしまいました。
 金日成からすれば、日本の政権与党と第一野党が一緒になって国交樹立に動くのだから期待していいだろうと思っていたはずです。それがアメリカの動きひとつであっけなくつぶれてしまった。これで金日成は、日本は自主外交ができない国だ、日本だけを相手にしてもラチが明かない、アメリカと直接対話すれば日本はそれに追随してくると、認識を改めることになります。
 2回目は2002年9月の小泉純一郎首相の訪朝です。小泉さんが訪朝の意向を示したとき、金正日はあらゆる情報を集めて分析し、小泉純一郎という人物は「変人」と呼ばれているようだが、強い意志を持った政治家であり、対米外交においても自主外交を貫ける人物だと判断して、日朝首脳会談の開催を決めました。
 ところがこの直後の10月、アメリカのケリー国務次官補が平壌を訪れて北朝鮮のウラン濃縮疑惑を指摘、米朝間の「枠組み合意」が破綻することになりました。日本構内でも拉致問題に対する対応の不満が高まり、マスコミもこぞって北朝鮮制裁を叫び始めました。
 そのため小泉首相が2004年5月に再び平壌を訪れたときは、食糧支援や医療品支援の見返りとして新たに5人の拉致被害者の帰国が約束されただけで、日朝国交正常化への動きは全く途絶えてしまいました。
 かくして日本は二度にわたってアメリカの横槍を受け、日朝国交正常化への道を閉ざされてしまったのです。ありていに言えばこれは、米朝正常化に先んじて日本が北朝鮮と国交を結ぶことなならぬということです。そしてそれに対して何一つできない日本は、骨の髄までしみこんだ対米従属姿勢をあからさまに露呈することになったわけです。これ囲以後、金正日は日本に見向きもしなくなりました。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 アメリカは日中国交正常化に激怒した。1971年、キッシンジャーがパキスタンルートで中国を電撃訪問。直後に「ニクソン大統領は中国から訪問の要請があり、それを了承したことを電撃的に発表した」(Wikipedia)。だが米中国交正常化は一筋縄ではいかなかった。台湾を支持するアメリカの政治家が多かったためだ。蒋介石夫人の宋美齢はアメリカで人気を集めた。彼女はアメリカ留学の経験があり、1975年以降はアメリカへ移住している。

 それを尻目に田中角栄はあっさりと「一つの中国」を認め、アメリカに先んじて国交正常化を果たしてしまったのだ。ロッキード事件(1976年)はキッシンジャーによる意趣返しと見て間違いない。米中の国交が正常化したのは1979年であった。

 アメリカとしては中国と同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。日本と北朝鮮が国交を結べば日本企業の進出は必至だ。レアメタルにも手を付けられてしまう。そして北朝鮮が円の通貨圏となる。これだけは絶対に阻止しなくてはならなかった。

 こんな相手に安全保障を委ねて大丈夫なのだろうか? 国際舞台は国益を巡る熾烈なリングであることは私も承知している。だがそれは「他国の利益を奪う」とイコールではないだろう。ところがアメリカはそういうことを平然と行う。日本は高額なみかじめ料を強要されて今にも潰れそうなキャバレーみたいなもんだ。

 クリントン大統領が仕掛けた経済戦争以降、日本経済は凋落(ちょうらく)の一途を辿っている。今、株価が高いのは日銀が印刷しているからであって需給による株高ではない。つまり円の価値が下がった分だけ株価が上がっているのである。

 アメリカは「俺と仲良くしたいなら、あいつと仲良くしてはいけない」と言ういじめっ子と同じ論理だ。そろそろ超大国の座から降りてもらうべき時に差し掛かっていると思う。

 そのためには日本が軍事的に独立する必要がある。完全を期すのであればどうしても核武装が必要となる。もちろん情報機関も欠かせない。また長期的展望に立てば、多くの大学に歴史学部を創設し近代日本史のエリートを育てる必要がある。同時に世界の近代史において西洋が犯してきた罪を学問レベルで糾弾するべきだ。

 アメリカと西欧が世界を牛耳っている限り、平和な世界が訪れることはないだろう。

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