2016-07-23

修行としての掃除/『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵


『人生を掃除する人しない人』桜井章一、鍵山秀三郎

 ・修行としての掃除

 このように、私自身が片づけについて真剣に向き合ってきた経験と、たくさんの「片づけられなかった人」たちを「片づけられる人」に導いてきた経験から、自信を持っていえることが一つあります。それは、【家の中を劇的に片づけると、その人の考え方や生き方、そして人生までが劇的に変わってしまう】ということです。

【『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵〈こんどう・まりえ〉(サンマーク出版、2010年)以下同】

「そんな馬鹿な……」と思う人は掃除をしない。「そうなのか!」と受け止めた人は直ちに掃除を開始する。コンマリを「一時的にテレビで持てはやされた女だろ?」などと侮ってはならない。幼い頃から好きだった片づけで大学時代に起業し、2015年のアメリカ『TIME』誌で「世界で最も影響力のある100人」に村上春樹と共に選ばれたのである(近藤麻理恵さんってどんな人 TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる)。「芸は身を助く」を極めた人生といってよい。アメリカでも100万部を超えるベストセラーとなり、「ときめき片づけ法を使って片づけを実践することを“Komaring”“Kondoing”と表現するワードも浸透しているという」(「片づけで人生がときめく」で世界600万部超の大ヒット、その理由とは)。まるで「パレアナ現象」だ。

 では、なぜ家の中を片づけると、このように考え方や生き方が、つまりはその人の人生までもが変わってしまうと思いますか。
(中略)【ひと言でいうと、片づけをしたことで「過去に片をつけた」から。その結果、人生で何が必要で何がいらないか、何をやるべきで何をやめるべきかが、はっきりとわかるようになるのです。】

 近藤の「片をつける」という発想が、桜井章一の「間に合う」(『運に選ばれる人 選ばれない人』)を思わせる。一つひとつ小さな決着をつけてゆくことが、大きな判断を確かなものとするのだろう。

 片づけは目に見える形で必ず結果が表れます。【片づけはウソをつきません】。だから、私がお伝えしている片づけの極意は、【「片づけの習慣を少しずつつける」のではなく、「一気に片をつけることで、意識の変化を劇的に起こす」】ことにあります。

「塵も積もれば山となる」というが実際にできた山はない。地殻変動がマグマを噴火させることで山は生まれる。劇的な変化は一瞬で決まる。心の底にはヘドロが堆積している。怠惰という名のヘドロが。それを一掃することから掃除は始まる。

【「片づけは祭りです。片づけを毎日してはいけません」】

 蓋(けだ)し名言である。

【驚かれるかもしれませんが、私は自分の部屋の片づけを今ではまったくしていません。なぜなら、すでに片づいているからです】。

 掃除は修行なのだ。「行(ぎょう)を修める」とは行為を正しくする・整えることである。修行とは何かを単純に繰り返すことではない。心構え次第では日常生活の全てが修行となる。

【片づけを真剣にしていると、瞑想状態とまではいかないまでも、自分と静かに向き合う感覚になっていくことがあります。自分の持ちモノに対して、一つひとつときめくか、どう感じるか、ていねいに向き合っていく作業は、まさにモノを通しての自分との対話だからです】。

 ブッダの弟子にチューラ・パンタカ(周利槃特)がいる。双子の兄のマハー・パンタカは頭脳明晰であったが、チューラ・パンタカは愚かで3ヶ月かかっても一偈を暗誦することができない。自分の名前すら覚えられなかったとの説まで伝わる。出産の時刻が兄と隔たっているようなので何らかの障碍(しょうがい)があった可能性も高い。

 兄に連れられて出家したものの、あまりの愚かさゆえに弟を哀れんだ兄が還俗(げんぞく)を命じた。それを聞いたブッダがチューラ・パンタカを訪ねる。ブッダは1枚の布を渡し、心を込めて「塵や垢を除け」と唱えて掃除をすることを教えた。やがてチューラ・パンタカは「清浄な布が汚れていく」事実をありありと見て諸行無常を悟る。掃除はまさしく修行であった。(「悟りを開いた人たち A・スマナサーラ長老」を参照した)

 はたきを使っていると私の頭では「お祓(はら)い」の文字が明滅する。清浄・浄化を目指すのが宗教であれば、掃除が悟りにつながることは決して不思議ではない。「婦」の字も白川静によれば、「『帚』(ほうき)を持って宗廟(そうびょう)を清めるという大切な役割をする女」という字義がある(第21回 人の形から生まれた文字 5 女の人の姿 2「婦」 主婦が掃除する廟)。

 掃除は聖と俗を往来する道なのだろう。取り敢えず現段階では自分の部屋を振り返ることはしない。





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