2016-12-03

目撃された人々 71




2016-11-29

佐藤優、池内恵、ピーター・ミルワード


 3冊挫折。

ザビエルの見た日本』ピーター・ミルワード:松本たま訳(講談社学術文庫、1998年)/著者はイエズス会神父の大学教授。フランシスコ・ザビエルの手紙を抄録。薄っぺらい本だが3/4ほどでやめた。ミルワードの解説は蛇足というよりも、頭の悪さが目立ち、著書全体を台無しにしている。ザビエルも草葉の陰で泣いていることだろう。

サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』池内恵〈いけうち・さとし〉(新潮選書、2016年)/リベラル特有のどっちつかずの態度が煮え切らない。池内は既に中東研究の第一人者と目されているが、日本の歴史観が私とは相容れない。amazonレビューはおしなべて高い評価だが、私は読むに値しないと判断した。

いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』安藤達朗著、佐藤優企画・編集・解説、山岸良二監修(東洋経済新報社、2016年)/佐藤優が巻頭の解説で安倍首相が主張する「戦後レジームからの脱却」を真っ向から否定している。しかも返す刀で公明党を持ち上げており、いかにも佐藤が指南しているように映る。佐藤の博覧強記と該博な知識は誰もが認めるところであるが、何を目指しているのかが全く見えてこない。ただし何となくではあるが沖縄を巡る何かなのは確かだろう。近頃は「私は反対だが」と前置きしながら琉球独立論をぶち上げたりしているようだ。結局のところ国際主義者であり左翼傾向が強い人物なのだろう。もちろん手嶋龍一も同類である。

2016-11-28

ビル・ブライソン、半藤一利、保阪正康、中西輝政、戸高一成、福田和也、加藤陽子、浦河べてるの家、藤田一郎、菅沼光弘、他


 12冊挫折、6冊読了。

思考実験 世界と哲学をつなぐ75問』岡本裕一朗(ちくま新書、2013年)/視点はよいのだが文章が悪い。

人物で読み解く「日本陸海軍」失敗の本質』兵頭二十八〈ひょうどう・にそはち〉(PHP文庫、2014年)/「失敗」が端的に描かれていない。タイトルに難あり。

図解雑学 時空図で理解する相対性理論』和田純夫(ナツメ社、1998年)/歯が立たず。再挑戦する予定。

日本文学全集 59 今東光・今日出海』今東光〈こん・とうこう〉、今日出海〈こん・ひでみ〉(集英社、1972年/1969年の改装版か)/「三木清における人間の研究」(今日出海)だけ読む。佐々淳行著『私を通りすぎた政治家たち』で知った。戦地で見た哲学者・三木清のクソ人間ぶりを冷静な筆致で描く。『人生論ノート』の文体からは到底窺い知ることができない。人間の欺瞞と不思議を思う。

皇統は万世一系である 女系天皇論の嘘とごかましを徹底検証』谷田川惣〈やたがわ・おさむ〉(日新報道、2011年)/タイトルの「女系天皇論」とはもちろん小林よしのり著『ゴーマニズム宣言SPECIAL 新天皇論』を指す。まあ、これでもかというほど批判が加えられている。小林は口を噤(つぐ)んでいる模様。こうした態度が小林ファンからの怒りを買っている。内容はほぼ神学論争といってよく、批判は攻撃・嘲笑・罵倒の色合いが強い。教義に関する造詣の深さが傲然とした姿勢を感じさせ、読むに堪えない代物となっている。チャンネル桜社長の水島総〈みずしま・さとし〉が一文を寄せているが、他人の尻馬に乗って肩をそびやかしているようにしか見えない。保守・右派に特有の徒党を組む精神性を私は蔑む。

余命三年時事日記』余命プロジェクトチーム(青林堂、2015年)/文章は素晴らしいのだが論旨がわかりにくい。表紙に「妄想」とあるのも不明さを引き立てている。ブログの書籍化だが、余命プロジェクトチームとは余命3年を告げられたブロガーと、その一族郎党を指す。響堂雪乃とよく似た文体である。

韓国呪術と反日』但馬オサム(青林堂、2015年)/菅沼光弘が褒めたというので取り寄せた。SMの件(くだり)で胸が悪くなって挫ける。

クリントン・キャッシュ 外国政府と企業がクリントン夫妻を「大金持ち」にした理由』ピーター・シュヴァイツァー:あえば直道監修、小濱由美子、呉亮錫訳(LUFTメディアコミュニケーション、2016年)/中ほどまで読んだがどうもスッキリしない。状況証拠を積み重ねているのだが決定力に欠ける。それにしてもビル・クリントンの講演料の高額さには驚いた。クリントン財団の深い闇。

「ダンマパダ」をよむ ブッダの教え「今ここに」』片山一良〈かたやま・いちろう〉(サンガ、2013年)/よもや解説本とはね。ダンマパダの新訳かと思ったのに。片山は既成宗教の匂いがプンプンしていて好きになれない。

ウルトラマン 「正義の哲学」』神谷和宏(朝日文庫、2015年/朝日新聞出版、2011年『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』増補版)/前置きが長過ぎる。

山の霊異記 赤いヤッケの男』安曇潤平(メディアファクトリー、2008年/MF文庫、2010年)/良書。あまりに怖くて読むのをやめた。ホントの話だよ(笑)。幽霊を信じない私ですら震え上がった。金輪際山には登らないことを固く決意す。二つ読んだだけで完全にギブアップ。タップしまくり。

群青 知覧特攻基地より』知覧高女なでしこ会(高城書房出版、1979年/改訂版、1996年)/飛ばし読み。女学生の手記が貴重である。「群青」との題が素晴らしい。それは哀しい「青春の群れ」であった。

 162冊目『戦争を作り報道を歪める者たちの正体 事件のシナリオを見抜かねば日本は再び戦場となる!』菅沼光弘(ヒカルランド、2016年)/タイトルに難あり。ヒカルランドでまともな菅沼本は初めてのことか。例の如く語り下ろしである。内容はやや薄い。

 163冊目『脳はなにを見ているのか』藤田一郎(角川ソフィア文庫、2013年)/面白かった。最後の方は蛇足の感あり。錯覚のメカニズムを解き明かす。時折、文章に性格の悪さが出ている。これほどの内容でありながら、ロバート・カーソンを引用していないのはどうしたことか。腑に落ちず。

 164冊目『べてるの家の「当事者研究」』浦河べてるの家(医学書院、2005年)/「シリーズ ケアをひらく」の一冊。いやあ、たまげた。抱腹絶倒の一書である。本当に読みながら何度も吹き出してしまった。発想の転換もここまで来ると「芸」の領域に達している。もちろん彼らの現実は厳しいことだろう。それでも精神疾患を抱える者が自らの病状を研究することは、医者や薬への依存を防ぎ、大いなる自立への一歩となろう。多数のイラストも実に素晴らしい。文章がこなれているのは編集をした医学書院の白石正明の功績だろう。「必読書」入り。

 165冊目『あの戦争になぜ負けたのか』半藤一利、保阪正康、中西輝政、戸高一成、福田和也、加藤陽子(文春新書、2006年)/勉強になった。座談会なので読みやすい。私の嫌いな保阪正康や加藤陽子も妙な思想性を出していない。戸高一成の発言が目を惹く。

 166、167冊目『人類が知っていることすべての短い歴史(上)』『人類が知っていることすべての短い歴史(下)』ビル・ブライソン:楡井浩一〈にれい・こういち〉訳(NHK出版、2006年/新潮文庫、2014年)/再読。いやあ、やっぱり凄い。ザ・作家といった印象あり。随所にユーモアが横溢(おういつ)している。宇宙創生から人類誕生までの歴史を辿る。とっくに「必読書」入りしているが、あと2~3回は読むことだろう。これから科学を学びたい人は本書を三度続けて読めば、目の前が開けてくるに違いない。